初心者の天体望遠鏡の選び方口径・倍率・架台のポイントと、最初は双眼鏡がおすすめな理由
3行でわかる「望遠鏡選び」
- 大事なのは倍率ではなく口径(レンズや鏡の直径)
- 初心者には、扱いやすい口径70〜80mmくらいの屈折式や、しっかりした架台のものが向いている
- 迷ったら双眼鏡(7〜10倍)から始めるのもおすすめ
「天体望遠鏡がほしいけど、どれを選べばいいかわからない」。そんなときは、倍率の数字にまどわされないことが大切です。

いちばん大事なのは「口径」
口径は、望遠鏡のレンズや鏡の直径です。口径が大きいほど、たくさんの光を集められます。
- 暗い天体(星雲や星団)が明るく見える
- 細かいところまで見分けられる(解像力が高い)
「○○倍!」に注意
箱に大きく書かれた倍率は、あまり気にしなくて大丈夫です。口径に対して倍率を上げすぎると、ぼやけて暗くなるだけです。
倍率の考え方
倍率は、望遠鏡の焦点距離を、接眼レンズ(のぞくレンズ)の焦点距離で割ったものです。接眼レンズを取りかえると倍率が変わります。
| 目安 | 内容 |
|---|---|
| 使える最大の倍率 | 口径(mm)の約2倍まで。口径80mmなら160倍くらい |
| 月の全体を見る | 30〜50倍 |
| 土星の環・木星のしま | 50〜100倍 |
| 星雲・星団 | 低い倍率(20〜40倍)が見やすい |
屈折式と反射式
| 屈折式(レンズ) | 反射式(鏡) | |
|---|---|---|
| しくみ | レンズで光を集める | 鏡で光を集める |
| よいところ | 手入れが簡単。すぐ使える | 大きな口径が比較的安い |
| 気をつけること | 大きい口径は高価になる | 鏡の向きの調整(光軸合わせ)が必要なことがある |
| 向いている人 | 初めての1台 | 星雲や銀河も見たい人 |
架台(三脚)も大事
望遠鏡をのせる台を架台といいます。ぐらぐらする架台では、倍率を上げると像がゆれて見えません。
- 経緯台:上下・左右に動かすだけ。操作がわかりやすく、初心者向き
- 赤道儀:星の動きに合わせて1本の軸を回すだけで追いかけられる。写真撮影にも向くが、設定が少し難しい
最初は双眼鏡から始めるのもおすすめ
双眼鏡は、すぐに使えて、視野が広く、星を探しやすいのが長所です。
月のクレーター、すばる、天の川の星の集まり、木星の衛星など、双眼鏡でも楽しめる天体はたくさんあります。7〜10倍、口径40〜50mmくらいが星見に向いています。
くわしくは双眼鏡で星を見るで紹介しています。
最初に見たい天体
- 月:いちばん見やすい。半月のころ、欠けぎわのクレーターが立体的に見える
- 土星:環が見えると感動する
- 木星:しま模様と4つの衛星
- すばる・オリオン大星雲:低い倍率で
ぜったいにしないこと
望遠鏡や双眼鏡で太陽を見てはいけません。一瞬でも目を傷めます。太陽は専用の道具で観察しましょう。
買う前にチェックしたいこと
- どこで使うか
ベランダか、車で出かけるか。持ち運ぶなら軽いものを。 - 何を見たいか
月や惑星なら屈折式、星雲・銀河も見たいなら口径の大きな反射式。 - ファインダーがついているか
天体を導入するための小さな望遠鏡。ないと天体を探すのがとても大変です。 - 接眼レンズが2本以上あるか
低い倍率と高い倍率を使い分けられると便利です。
はじめての観察の手順
- 明るいうちにファインダーを合わせる
遠くの建物の先などで、望遠鏡とファインダーの向きをそろえておきます。 - 低い倍率で月を入れる
最初は月がいちばん簡単です。 - ピントを合わせてから、倍率を上げる
像がぼやけたら、倍率を下げましょう。
どの天体がいつ見えるかは、惑星カレンダーや今月の星空で確認できます。
望遠鏡のお手入れと保管
- レンズや鏡にさわらない:指紋がつくと見え方が悪くなる
- 使ったあとはふたをする:ほこりを防ぐ
- 寒い外から暖かい部屋に入れたら:くもり(結露)がとれるまで、ふたを外したまましばらく置く
- 湿気の少ない場所で保管:カビを防ぐ
屋外に出したら、望遠鏡が外の気温になじむまで20〜30分待つと、像が安定して見えやすくなります。
望遠鏡で見た天体は、どう見える?
| 天体 | 小さな望遠鏡での見え方(目安) |
|---|---|
| 月 | クレーターや山がくっきり。いちばん感動しやすい |
| 土星 | 小さいが環がはっきりわかる |
| 木星 | しま模様と、4つの衛星が点で並ぶ |
| 火星 | 小さな赤い円。接近のときは模様がわかることも |
| 星雲・銀河 | 写真のような色はなく、うすい雲のように見える |
写真のようにカラフルに見えるわけではありませんが、自分の目で見る本物の姿には、写真とは違う感動があります。
望遠鏡についての疑問
ベランダでも使える?
月や惑星なら、ベランダでも十分楽しめます。ただし、建物の熱で空気がゆらぐことがあるので、外に出してしばらく置いてから見ましょう。
スマホで望遠鏡の写真は撮れる?
接眼レンズにスマホのカメラを近づけて撮る方法(コリメート撮影)で、月や惑星を撮ることができます。専用のスマホホルダーがあると撮りやすくなります。
子どもでも使える?
使えます。はじめは大人が天体を入れてあげて、子どもがのぞくようにすると楽しめます。太陽を見ないように、大人が必ず見守りましょう。
望遠鏡の言葉と数字
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 口径 | 対物レンズや鏡の直径。大きいほど暗い天体が見え、細かい所まで見える |
| 焦点距離 | レンズや鏡が光を1点に集めるまでの長さ |
| 接眼レンズ(アイピース) | のぞくところのレンズ。付けかえると倍率が変わる |
| 倍率 | 望遠鏡の焦点距離÷接眼レンズの焦点距離。700mmの望遠鏡に20mmの接眼レンズなら35倍 |
| ファインダー | 天体を視野に入れるための、小さなのぞき窓や照準器 |
| 経緯台・赤道儀 | 望遠鏡をのせる台。経緯台は上下左右に動かし、赤道儀は星の動きに合わせて1つの軸で追える |
倍率の上げすぎに注意
望遠鏡で使える倍率の目安は、口径(mm)の約2倍までです。口径60mmの望遠鏡なら120倍ほどが限界で、それ以上にすると、像がぼやけて暗くなるだけです。
はじめは低い倍率(30〜50倍)で天体を視野の真ん中に入れてから、少しずつ倍率を上げるのがコツです。
今夜の空で、実際の星の位置を3Dで確かめられます。
星空を3Dで見る →よくある質問
天体望遠鏡は何倍がいい?
倍率より口径が大事です。使える最大倍率は口径(mm)の約2倍が目安で、月は30〜50倍、土星は50〜100倍くらいで楽しめます。
初心者におすすめの望遠鏡は?
扱いやすい口径70〜80mmくらいの屈折式で、しっかりした架台のものが向いています。
望遠鏡で土星の環は見える?
見えます。50倍くらいから環がわかります。
双眼鏡と望遠鏡、どちらから始める?
すぐ使えて星を探しやすい双眼鏡から始めるのもおすすめです。