地平線の月が大きく見えるのはなぜ?「月の錯視」のしくみと確かめ方
3行でわかる「大きな月」
- 地平線近くの月が大きく見えるのは目の錯覚(月の錯視)
- 実際の見かけの大きさはほとんど同じ。むしろ地平線の月のほうがわずかに小さい
- 5円玉の穴や指先と比べると、大きさが変わらないことを確かめられる
昇ったばかりの満月が、びっくりするほど大きく見えたことはありませんか。じつはこれ、月が大きくなったのではなく、わたしたちの脳が大きく感じているのです。
大きく見える月は「月の錯視」
地平線近くの月が大きく見える現象は「月の錯視(つきのさくし)」と呼ばれ、2000年以上前から知られています。
写真に撮って高い空の月と比べると、写った大きさはほとんど同じです。
じつは逆
地平線の月は、空高い月より地球の半径ぶん(約6400km)遠いので、ほんのわずかに小さく見えているはずなのです。
自分で確かめる方法
- 5円玉を用意する
腕をまっすぐのばして、穴から月をのぞきます。 - 昇ったばかりの月で試す
穴に対して、月がどれくらいの大きさか覚えておきます。 - 数時間後、高く昇った月で試す
同じように見ると、穴に対する大きさは変わらないことがわかります。
小指の爪や、腕をのばした指先でも確かめられます。
なぜ大きく感じるの?(いくつかの説)
月の錯視の原因は、じつはまだはっきり決まっていません。有力な説をいくつか紹介します。
- 比べるものがある説:地平線の月は、建物や山と一緒に見えるので、大きく感じる
- 空の形の説:わたしたちは空を「平たいドーム」のように感じていて、地平線の方が遠いと思いこむ。遠いのに同じ大きさに見えるので、脳が「大きい」と判断する
- 目の向きの説:見上げるときと、まっすぐ見るときで、大きさの感じ方が変わる
スーパームーンとの違い
月の錯視は見え方の錯覚ですが、スーパームーンは本当に月が地球に近づいて大きく見える現象です。
| 月の錯視 | スーパームーン | |
|---|---|---|
| 原因 | 目と脳の錯覚 | 月と地球の距離が近い |
| 大きさの変化 | 実際は変わらない | 実際に約1割ほど大きい(最も小さい満月と比べて) |
| いつ | 月が地平線近くにあるとき(毎月) | 年に数回の満月 |
スーパームーンについてはスーパームーンとは、次の満月は満月カレンダーで確認できます。
大きな月を楽しむコツ
- 満月の日の、月の出の時刻をねらう(夕方の東の空)
- 建物や山など、くらべるものがある場所から見ると、より大きく感じる
- 昇ったばかりの月は、空気の影響でオレンジ色に見えることが多い
月の出の時刻は月齢カレンダーで、地域ごとに確認できます。
月の錯視は太陽や星座でも起こる
同じ錯覚は、夕日や朝日でも起こります。地平線の太陽が大きく見えるのも、月と同じしくみだと考えられています。
星座でも、昇ったばかりのオリオン座やさそり座は、高い空にあるときより大きく感じることがあります。
写真で大きな月を撮るコツ
スマホで月を撮ると、肉眼で見たよりずっと小さく写ってがっかりすることがあります。大きな月を写すには、次の方法があります。
- ズーム(望遠)で撮る:ただし拡大しすぎると画質が落ちる
- 遠くの建物や山と一緒に撮る:遠くからズームで撮ると、建物に対して月が大きく写る
- 明るさを下げる:画面の月をタップして、明るさを下げると模様が写る
錯覚を体験できるかんたんな実験
- 大きく見える月を見つける
昇ったばかりの満月が最適です。 - 股のぞきをする
後ろを向いて、足の間から逆さまに月を見ると、大きさの感じ方が変わる人が多いといわれます。 - 紙の筒からのぞく
まわりの景色をかくすと、月が小さく感じられることがあります。
人によって感じ方が違うので、家族や友だちと比べてみるのもおもしろいです。
月の大きさのいろいろ
| くらべるもの | 月の見かけの大きさ |
|---|---|
| 腕をのばした小指の爪 | 月がすっぽりかくれる |
| 腕をのばした5円玉の穴 | 月とほぼ同じ大きさ |
| 角度 | 約0.5°(太陽とほぼ同じ) |
月と太陽は、見かけの大きさがほぼ同じです。そのため、月が太陽をぴったりかくす皆既日食が起こります。くわしくは日食・月食カレンダーで紹介しています。
月の見え方についての疑問
月の大きさは毎月変わる?
月の通り道は少し楕円なので、地球との距離が約36万〜41万kmの間で変わります。いちばん近い満月(スーパームーン)と、いちばん遠い満月では、見かけの大きさが約14%ちがいます。
写真だと月が小さく写るのはなぜ?
月の見かけの大きさは約0.5°で、とても小さいからです。肉眼では脳が大きく感じていますが、カメラは見たままの大きさで写します。
月が赤く見えるのはなぜ?
地平線近くの月は、厚い空気の層を通して見るため、青い光が散らばり、赤やオレンジの光が残るからです。
太陽でも同じ錯覚は起こる?
起こります。夕日や朝日が大きく見えるのも、同じ錯覚だと考えられています。
手で空の大きさを測ってみよう
腕をまっすぐのばしたとき、手の指で空の角度を大まかに測ることができます。月の見かけの大きさをくらべるときに便利です。
| 手の形 | 空での大きさ(約) |
|---|---|
| 小指の幅 | 1°(月の約2個分) |
| 人さし指・中指・薬指の3本の幅 | 5° |
| にぎりこぶし | 10° |
| 親指と小指を広げた幅 | 20° |
月の見かけの大きさは約0.5°なので、小指の幅の半分ほどです。地平線近くの大きく見える月と、高く昇った月を、同じ小指でかくしてみてください。どちらも同じようにかくれるので、大きさが変わっていないことが確かめられます。
腕の長さや手の大きさは人によってちがいますが、大人も子どもも、体の大きさに合わせてほぼ同じ角度になります。
この記事のまとめ
- 地平線近くの月が大きく見えるのは目と脳の錯覚(月の錯視)
- 実際の月の見かけの大きさは約0.5°で、高さによってほとんど変わらない
- 小指の幅や5円玉の穴を使うと、大きさが同じことを確かめられる
- スーパームーンは実際に少し大きく見える満月で、錯視とは別のもの
- 赤く見えるのは、厚い空気の層を通るときに青い光が散らばるため
今夜の空で、実際の星の位置を3Dで確かめられます。
星空を3Dで見る →よくある質問
地平線の月が大きく見えるのはなぜ?
「月の錯視」という目と脳の錯覚です。実際の見かけの大きさはほとんど変わりません。
本当に大きさは変わらないの?
写真で比べると同じです。地平線の月は少し遠いので、わずかに小さいくらいです。
昇ったばかりの月がオレンジ色なのはなぜ?
厚い空気を通るあいだに青い光が散らばり、赤っぽい光が残るためです。夕日が赤いのと同じしくみです。
スーパームーンとは違う?
違います。スーパームーンは、月が実際に地球に近づいて大きく見える現象です。